「写真と音楽」

私は、もの心がついた頃から音楽に親しんでいたので、写真を撮り始めて、ある程度、写真表現の幅が広がってくると、音楽が与えてくれたイメージを、少しでも写真で表現できたらと思う様になりました。歌や楽器の才能があったらミュージシャンになりたかったほどですから、楽器の代わりに、カメラで自己表現をしていると言った方が正確かもしれません。

音楽は、ストレートに感覚に訴える力が大きいので、感覚を研ぎすまして、イメージを先鋭化したり、逆にクールになったりするためには、最適なアートだと思います。逆に、映画や絵画から音楽ほどの影響を受けたことがありません。私は、ジャンルに関わらず様々な音楽を楽しんでいますが、幾多のミュージシャンの様々なソロが、脳内の引き出しにこれでもか?というほど詰め込まれています。そのせいか、写真の構想を練るときや、撮影の時には、理由もなく、「ある音」が頭の中で響いてきます。

好きなジャンルやアーティストでは、ジャズのビル・エバンス、ジム・ホール、パット・メセニー、ハンク・ジョーンズ、ジョニー・ハートマン、ジョン・コルトレーン、スタン・ゲッツ、ソウル(リズム&ブルース)のジェームス・ブラウン、アレサ・フランクリン、マービン・ゲイ、アイズリー・ブラザーズ、チャカ・カーン、クラシックでは、ルネサンス期の教会音楽。もう名前を挙げて行ったらキリがないほどです。

私は、写真は、自分の想像力を表現する手段だと考えているので、写真を撮る事は目的ではありません。例えば、もし自分に一流のプロになるほどの歌や楽器の才能があったら、ミュージシャンをやっていたかもしれません。絵も彫刻も、歌も、それは、「自己」というものを表現するための手段であって、コアにある「想像力」や「審美眼」を高めていくことが最も重要だと思っています。そういう意味で音楽は多くのかけがえのないものを与えてくれて、自分のコアを形成している大きな要素だと思っています。



 

 

 

コラム

※左のyoutubeのピアニストはビル・エバンス。好きなジャズピアニストの一人です。私がNYに行く数年前に他界したのですが、彼の奏でるソロは、私にとってNYのイメージそのものでした。作品を撮影するときや、スタジオにある暗室でプリントするときは、必ず彼のCDをかけていました。撮影の時にかけていたら、モデルさんもビル・エバンスが大好きで、とてもリラックスしてくれたことがあります。撮影前に気合いを入れる時には、これまた大好きな、ソウルのジェームス・ブラウンを聴くこともあります。また、うんと緊張感が欲しいときには、ジャズのパット・メセニーが最高です。私にとって音楽抜きの写真はありえません。