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モノクロの世界:プラチナパラディウムプリント

通常の銀塩プリントであるゼラチンシルバープリントを焼く場合は、引き延ばし機を使いますが、プラチナパラディウムプリントを創る場合は、コンタクトプリントになります。8×10より大きなコンタクトプリントが必要な場合は、新たに、拡大したネガを創る必要があります。リスフィルムや11×14のモノクロネガに焼き付ける方法がありますが、結構大変です。

私は8×10(Sinar8×10)カメラで撮って、そのまま8×10のフィルムでコンタクトプリントを焼いていました。フィルムとペーパーを圧着して自作の焼き付け機で強力な紫外線を浴びせます。プラチナプリントは紫外線にしか反応しません。ですからハロゲンライトで明るくなった室内でも、紫外線さえ入ってなければ、目視しながらの作業が可能です。

一方ゼラチンシルバープリントの場合は、暗黒の中で、暗視眼鏡を使用しての作業になります。最近では、一旦オリジナルのモノクロネガをデータ化して、それをPC上で拡大。インクジェットプリンタで透明なフィルムに出力して拡大ネガを創るそうです。よく考えたものだと思います。この話は名プリンターの久保元幸さんから聞いたもので、時代は、アナログとデジタルのコラボ時代に入ったのだとの感想を持ちました。

810negaさて、ここでは、アナログの世界、現像液を使ったネガ現像です。通常のゼラチンシルバープリント用のネガのあげ方とプラチナプリントのそれは違いますが、まずは用途に応じた、きれいなネガを作らなければなりません。モノクロの8×10 の現像をやってくれるところは東京では何箇所かありますが、やはり自分でコントロールしながら自分にとってベストのネガを作るというのが、敢えて大型カメ ラを使う人にとってはこだわりではないでしょうか。作品で撮る場合、大体私が静物を撮る場合2カットしか切りません。2カットなので、1カットずつ十分時 間をかけて行います。

現像の方法は
  • 現像液:希釈現像液を使います。希釈液である程度時間をかけて現像すると、まず、ムラが出にくい。粒子が細かく揃うなどの長所があります。現像液の量は最低で5リッター用意します。当然、T-Max現像液のような高価な現像液だととても不経済です。それにT- Maxはとてもコントロールしにくいという印象があります。私は長年HC-110(コダック)を使っています。、原液はジェルのようなどろどろしたもので すが(約400cc)それを原液も含め1.9リッターに希釈して使用液をつくります。これをボトルにいれて保存するわけですが、実際に使う時は、これをさ らに希釈して使用します。コダックからA希釈、B希釈の両方のデータがでています。実用的なのは B希釈ですが、私はもっと薄めて使っています。
  • フィルム:順序が逆になりましたが、私の場合どの被写体でもフィルムはトライXです。理由はまず実効感度が高いこ と(ASA320)。等倍撮影の場合、これは有利です。自然光で人物をとる場合なんかもそうです。コンタクトプリントの場合、プラスXもトライXも見た目 ほとんど区別はつきません。それにあまり現像でデリケートでないフィルムなので、コントロールし易いからです。
  • ネガのあげ方:大判のモノクロフィルムは以外とコントラストがつきにくいものです。ブローニーでちょうど良さそう な状態であげてしますと、プリントしたときとてもねむくなります。ちょっとコントラストつきすぎかな?といった程度でちょうど良いと思います。その辺は各 自でデータをとってください。掲載のネガは露光と現像でちょうどプラス2段近いプッシュで、かなりのコントラストになってます。実はこれはプラチナプリン ト用のネガですが、これだけ真っ黒なのに、良く見ないと分からないディティールもプリントで再現されています。これをシルバープリントでテストプリントし たこともありますが、これだけのネガでも、ちゃんと焼けます。ですから、ちょっとプッシュ気味のあがりを心がけた方が良い結果がでると思います。

エマルジョンや焼き付けについては、各自、自作の世界なので、参考データは割愛します。最近ではモノクロフィルムやフィルム現像液の生産終了が相次ぎ、なかなか入手困難になり、高価になりました。私がお世話になっているNP(ナショナルフォート)では随時入手可能な製品データを更新しています。ご参考までに、>>http://www.nationalphoto.co.jp/1F/030702_fdb_1.htm
コダックのケミカルについては、こちら(PDF)
上述のHC-110についてはまだ入手可能なようです。

コラム

※私がプラチナプリントにはまっていた頃には、「パラディオ」という、プラチナプリント用ペーパーが市販され、参考データも揃っていたので比較的楽にプラチナプリントに入っていくことができました。しかし、現像液は、その蒸気を吸い込むだけで、体に悪影響を及ぼす劇薬で、廃液は産廃業者に任せるしかなく、環境問題が云々される現在では、ちょっと作業をためらってしまいます。
ゼラチンシルバープリントも、フィルム現像を含め、多くの廃液を出すので、別の意味で過去のものになってしまったのか?とも感じてしまいます。現在では、画面上でPhotoshopを使って「モノクロプリントを焼き付けて」いますが、そこに新しい可能性を見いだしていくしかないとも考えています。